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日本滞在日記 1

今回の一時帰国では、東京現音計画(足立智美プロデュース)、リレーション`70、NHK交響楽団尾高賞受賞演奏会と全く異なるタイプの現代音楽の演奏会に伺いました。

リレーション70とNHK交響楽団の演奏会は、同じオペラシティ内のコンサートホールとリサイタルホールで同日同時刻に行われており、私は前半N響、後半リレーション70とはしごしたわけですが、どちらも集客はまずまず盛況と行った所で、「熱いではないか日本の現代音楽シーン!」と思った次第です。

NHK交響楽団の演奏に関しまして、スコアを見ていませんし私が何かしのごの言えるような立場ではありませんので割愛。あ、もちろん素晴らしい演奏でした。さすがだと思いました。

ただ、開演15分前の作曲家によるトークが会場のざわめきが多く、非常に残念な状態で行われていたのは驚きました。
もちろん開場時間中に行うとの記載はありましたが、実際時間的にもトーク後の入場も可能でしたし、興味がない人は会場の外で待っていただいた方が、トークセッションが何かの傍らで行わるものではなく、作曲家の生の声を聞く事のできる集中したものになったのではと思います。
舞台で作曲家とインタヴュアーが話をしているのに、入場者の遠慮のない足音や係員による案内(声大きめ)、客席そしてドアを解放していた為にロビーからのおしゃべり声が終始聞こえていたのは、私としては正直不快でした。
トークそのものはとても親しみややすい印象を受けましたが、たとえそれぞれ5分程度のインタヴューでも作曲家の自作に関するコメントを聞く環境が整っていて欲しかったな、と思います。

あと個人的にはチューブラベルというのは、使い方が難しい楽器だなと思いました。
1曲目の最後で盛り上がった末、チューブラベルの一音だけフォルテで演奏されるソロがあったのですが、フルオーケストラの音の深さの後に、何か啓示的な印象を受ける音が若干楽器として貧弱な感じがあり、その危うさというか肩すかしを食らった感じに一瞬冷や汗が出ました。(もしかしてこれが狙い?)
例えばそれが本当の鐘を使うとよかったのか、同音程の楽器を2つ同時に演奏するとか、なるべく楽器を響かせ、倍音を消さない為に独立したスタンドにその一音だけ別に用意したら違うのか、などとその後考えてみましたが、演奏者の気合いだけでは補えない楽器そのものの弱さを考えさせられました。
ただ私はかなり後ろの客席で聞いていたので、もしかして一階席では迫力があったのかもしれませんね。

次はリレーション`70の演奏会の感想を書こうと思います。











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音楽学校について

2008年から1年ブランクを間にはさみましたが、ドイツの市立音楽学校で子ども達に打楽器を教えています。 日本の打楽器奏者は大抵、学校での部活動で打楽器を始めますが、ドイツには学校に部活がなく、学校も日本より早く終わります。そこで多くの子どもが地域のサッカークラブに入ったり、音楽学校で楽器を習ったりするようです。音楽学校は大人でも入れます。音楽大学とは違って入学試験のようなものはありませんので、公立のヤマハ音楽教室のようなものでしょうか。 ドイツの子ども達(少なくとも私の生徒達)は、お国柄かあまり人と自分を比べるようです。私の生徒達も自分が楽しいか、を基準に毎回やってきます。(「誰々ちゃんよりうまくなりたい!」とかあんまりないので、競争心からの練習はあまりしない、、。というか、来るだけでそれなりに楽しいからあんまり練習しない、、。)それゆえか面白い位みんなそれぞれの個性が音に現れています。これは毎回聴いていて飽きないものです。 当たり前かもしれませんが、自分なりにでも上手く弾けると自分を褒めます。 私も生徒を褒めますが、生徒自身が喜んでいるのがわかると非常にうれしいものですね。 私は何せ生真面目な子どもでしたので、上手く弾けてほっとしても自分を褒めるとかなかったですねー。これはかつての私の先生達はレッスンしにくかったと思います。 自分が子どもにレッスンをする立場になり、自分がレッスンを受けていた時の事を良く思い出すようになりました。良かった思い出も悪かった思い出も自分が教える際の参考になっています。人生無駄はありませんね! 今習っている事が直接音楽に繋がらなくても、将来何かの役に立てばいいな、と願うばかり。恐らく彼らが初めて知り合ったであろう日本人として恥ずかしくないようにあろう、と思う日々です。 さて早いものでもうすぐ12月! この時期になると子どもたちはクリスマスプレゼント、クリスマスマーケットなどクリスマスイベントに向けてうきうき!アドヴェントの時期は「やる事が多くて練習する時間がない!」そうです。とほほ。。。

モバイルギロ。

日本滞在記2の前にこちらを。 ドイツ・ケルン市にはSchlagquartett Köln という現代音楽のスペシャリストである4人が集まった打楽器四重奏団があります。 そのリーダーThomas Meixnerさんは、以前にもブログに書きましたがハリーパーチの楽器をほぼ全て1人で製作したり、学生時代大太鼓を胴から自作するという日曜大工の域を越えたただものではない人物であります。(本人曰く、全て独学)                     そんな彼が先日作ったモバイルギロ。 長いギロを入手するのに今まで苦労して来た打楽器奏者には、目から鱗のこの構造。 これで商売をしよう、などと微塵も考えていない彼の行為によりこのギロを紹介します! 材料は 段ボール 溝を付けた木の棒 木の板 アルミなどの金属枠(ドイツではこの角度を付けて曲げられた状態で売っています) 写真のように、木の板の両側に金属枠を取り付けます。(これは穴をあけてネジで固定) 板の幅より広めの段ボールの真ん中に接着剤で溝を入れた木の棒を貼付けます。 この段ボールを金属枠と木の板の間にはめ込んで出来上がり。 これが驚きのサウンドなのです。 段ボールと木の板の間の空間が共鳴帯になり、豊かな響きを作り出すのです。 スタンドに固定する部分ですが、彼は木と金属で既製のシンバルスタンドにはめられるものを作っていました。 これはスーツケースに入れて簡単に持ち運びできます。 彼も、移動中に新しいギロを作りたくなり、ホテルの部屋で製作したそうです。 おためしあれ!