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いい話を聞かせてもらった。

しみじみと感動した話を聞いたので書き留めてみました。

ヨハネス・フィッシャーというドイツ人打楽器奏者がいます。彼は2007年にARD国際音楽コンクール(ミュンヘン国際音楽コンクール)で一位を受賞し、その後ソリストとして活躍しつつ、29歳でリューベック音楽大学の教授にもなった非常に優秀で素晴らしい音楽家です。

光栄なことに私は彼とたまにアンサンブルmusikFabrikの仕事で一緒になるのですが、先日そんな彼からこんな素敵な思い出話を聞きました。

ヨハネスがまだフライブルク音楽大学の学生であった頃、フライブルクとケルンの音楽大学作曲クラスの交流企画で、ケルン音楽大学に作曲科学生の作品を演奏をしにいったそうです。

当時ケルン音楽大学の打楽器クラスは、クリストフ・カスケル氏が教授をしておりました。カスケル氏はシュトックハウゼンの「チクルス」やラッヘンマンの「アンテリオール」などの打楽器ソロを始めとする多くの新作初演を行い、様々な作曲家に大きく影響を与えた伝説の人物です。また彼のもとで勉強をした多くの打楽器奏者が、現在のドイツ現代音楽界を支えていると言っても過言ではありません。

さてヨハネスが、ケルンでの交流企画の数週間前、突然このような電話がかかってきたそうです。

「フィッシャーさん、私はケルン音大のクリストフ・カスケルです。今回演奏に来てくださるの楽しみにしてます!あなたが使う楽器のリストは、事前に作曲家からもらっていますが、全部こちらで用意させていただきます。当日は何時にケルン音大にいらっしゃいますか?私の生徒が玄関でお迎えして、お手伝いをさせていただきますからね。気をつけていらしてください」

定年退職数年前60代後半・伝説のカスケル氏から非常に丁寧な電話(ドイツ語で丁寧語であるSiezenで使っていたそうな)をもらい、当時20代始めのヨハネスは非常に驚き、感激したそうです。そして彼の話のとおり、コンサートの当日は本当に学生が玄関で迎えてくれ、楽器の手配、セッティング等を非常に親切に手伝ってくれたそうです。

そしてコンサートが終わり、ヨハネスが片付けようとしたところ、再びカスケル氏がやってきて、こう言ったそうです。
「フィッシャーさん、素晴らしい演奏をありがとう!片付けは私の生徒達がやりますよ。あなたは演奏をされたんだ。他の演奏者や作曲家と一緒に打ち上げに行ってください!」

ヨハネスは、今まで経験した事のない程の歓迎ともてなしが、今でも忘れられない程心に残っているそうです。

それから数年後、ヨハネスはARDコンクールで審査員を務めていたカスケル氏と再会したそうです。
ヨハネスは、当時のケルン音大での思い出をカスケル氏に話し、再び当時の歓迎に感謝を気持ちを伝えた所、カスケル氏本人は覚えていなかったそうです(笑 。

しかしヨハネスは、

「彼がこの話を忘れてしまっていた事は全く構わないんだ。僕は、この話をカスケルさんに本人に直接できて本当にうれしかった。これは僕に取って本当に忘れられない思い出なんだ。」

と笑顔で語っていました。

この話をヨハネスから聞いた時、私は同時にもう一つの話を思い出しました。
数年前にドイツ音楽大学コンクールというものが行われた際、打楽器部門はヨハネスが教鞭をとるリューベック音楽大学で開催されました。そこに参加した友人・南真一くんがコンクールを終えて帰って来て、私に話してくれたのです。

ドイツ音楽大学から選ばれた打楽器奏者が20人程参加し、1次から3次まで様々楽曲を披露したそうなのですが、参加者1人から2人に対し、リューベック音大の打楽器科の学生を1人ずつ担当させ、楽器の貸出、セッティング、練習室への案内、楽器の移動などを非常に親切にアシスタントをしてくれたそうです。

打楽器コンクールというのは、楽器・スタンドの手配、本番・リハーサル会場への移動など、慣れない場所では心身ともに負担となり、ステージ上では見えない問題が多々起こります。コンクールという最も演奏に集中したい場で、演奏以外に使われる時間が多いのです。

そんな状況でこのようなスタッフの存在は、なんとありがたく、本番の演奏を助ける事でしょう。1000キロ近く離れたカールスルーエ音大より1人で参加した南君は、リューベック音大の学生の非常に好意的かつ素晴らしいアシスタントに非常に感激し、演奏に集中することができたと満足していました。(ちなみに彼は、2位という素晴らしい結果と共にカールスルーエに帰って来ました!)



ヨハネスがカスケル氏との思い出からこのようにコンクールをオルガニゼーションしたのかどうかはわかりませんが、私は、この二つの話が自分の中で何となくつながり、非常に幸せな気分になりました。

自分が感謝した行為、受けた親切は、ぜひぜひ自分の行動にも生かしていきたいなー、と思った出来事でした。








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モバイルギロ。

日本滞在記2の前にこちらを。
ドイツ・ケルン市にはSchlagquartett Köln という現代音楽のスペシャリストである4人が集まった打楽器四重奏団があります。 そのリーダーThomas Meixnerさんは、以前にもブログに書きましたがハリーパーチの楽器をほぼ全て1人で製作したり、学生時代大太鼓を胴から自作するという日曜大工の域を越えたただものではない人物であります。(本人曰く、全て独学)


そんな彼が先日作ったモバイルギロ。 長いギロを入手するのに今まで苦労して来た打楽器奏者には、目から鱗のこの構造。 これで商売をしよう、などと微塵も考えていない彼の行為によりこのギロを紹介します!
材料は 段ボール 溝を付けた木の棒 木の板 アルミなどの金属枠(ドイツではこの角度を付けて曲げられた状態で売っています)











写真のように、木の板の両側に金属枠を取り付けます。(これは穴をあけてネジで固定) 板の幅より広めの段ボールの真ん中に接着剤で溝を入れた木の棒を貼付けます。 この段ボールを金属枠と木の板の間にはめ込んで出来上がり。
これが驚きのサウンドなのです。 段ボールと木の板の間の空間が共鳴帯になり、豊かな響きを作り出すのです。

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