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夏を前に振り返る。


私は2005年ドイツに音大留学をきっかけにして引っ越してきました。


それは、自分のスキルアップ計るために、その当時にはベストの方法であると思えたかです。当時、自分の演奏に自分自身満足していなかった私は、このままでは30歳を過ぎた頃に、つまらない人生を送ってしまうのではないかと不安になっていました。不満はあるのに、何が自分の満足する状態なのか、どうしてもイメージがつかめません。でもそこであきらめる程、努力をしつくした、とも思えませんでした。

この状況を打開する為に私が考えた解決策は以下のようなものでした。

1、演奏技術、生活、身体を根本的に見直す
2、良きアドヴァイザーを得る
3、演奏活動を一定期間休む
4、自分自身に考える時間とゆとりを与える


私がおそらく日本にいたままでは難しかった事は、「3」でしょう。

大学卒業したてのひよっこフリーランサーという立場にびくびくし、かつ自分に自信がなかった私に、仕事が来る、お金をいただける、という事が数少ない自分の存在意義を確認できる事の一つでした。正直ドイツに行ってからも、自分の知っている打楽器奏者どんどん活躍をしているのがうらやましい、かつ自分の居場所がなくなってしまったようで苦しかった事を覚えています。

しかし、ドイツという外国に来てしまったら、言葉はしゃべれないので働けない、知り合いはいない、学校行事は大抵もっと長くいる学生が出ていました。私が留学した当時コンクールなども少なかったので、1年くらいソロはやらずに、音の出し方を師匠と共に見直す日々が続いていました。これは非常に贅沢な時間でした。練習時間と同じ位、睡眠時間も取っていました。

そんな中で学んだ事。

1、他人の時間の使い方にとやかく言わない。
2、意見が違っても、個人の人格を否定しない。
3、第三者に自分に対する意見の同意を無理に求めない。


これらから、こういう風に考えるようにもなりました。

1、他人にとやかく言われない(言われても平気な)時間の使い方をする。
2、意見が違っても、個人的に好まない人物でも、その話に耳を傾ける。その話を自分の中でその文脈以外の事に無理矢理関連づけようとしない。
3、人に同意されなくてもその意見が自分にとって大事だと思われる場合、その理由を冷静に考える。また自分の意見が同意されなかった事を必要以上にネガティブにとらえない。

今こうして書いてみると、非常に当たり前なことばかりですね、、、。
いやはやお恥ずかしい、、。












コメント

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