かなり久々の更新になってしまいました、、。
そしてこの2、3ヶ月間の怒濤の毎日にかまけて、ドイツ語も日本語も荒れる一方。そこでここは気持ちを落ち着けるべく、移動時間を利用しブログを書いております。
(そうでなくてももっと更新しなさい、はい。)
今までの事を思い出す前に、まず現在やっているプロジェクトの事を書いてみようと思います。
先週の木曜日より、ケルンオペラで「Zauberküche(魔法の台所)」の稽古が始まりました。これはケルンの作曲家・打楽器奏者Thomas Witzmannがかつて台所用品のみを用いたソロ作品を元に新たに脚本が書かれた子供のための新作オペラです。出演者はソプラノ歌手と打楽器奏者3人だけです。オケもなし!
参加する事は昨年から決まっていたのですが、資料等などがなぜか私ともう1人の打楽器奏者には渡されておらず、初日の稽古で初めて全貌の一部を知る事ができました、、。とほほ。
ソプラノ歌手演じるフィー・コリアンダーという役は、美味しい音を味わえるレストランのオーナー。3人のお抱えシェフと共にレストランを切り盛りしています。ところがある日、そのレストランの秘蔵のレシピが盗まれて、、、。というところで話が始まります。
目に見えない音を味わう、というのがコンセプトにあるそうで、野菜などの食材は一切使わない、という制限の中で劇中の音を作っております。ちなみに全て舞台上で演奏(?)されるので、演技(のようなものも)しております。女優デビュー、、。いやいや。
作曲家Thomas Witzmannは、その場で色々試しながら即興的に音楽を作って行く手法で稽古を進めて行っているようなのですが、何しろ初日は二週間後、、。もちろん全員暗譜で臨まなくてはならないので、稽古二日目にして既に不安の影も見え隠れしています。ぶるぶる。しかしここは気持ちを改めてポジティブシンキング!きっと何とかなる、に違いない、、。
(どうでもいいのですが、私としては秘蔵のタレが盗まれたならともかく、レシピがないといつも通りに作れるかわからないレストランって、、、と設定そのものに突っ込みたくなりました。)
今回のお仕事で改めて思ったのは、即興的に他者と一つの作品を作って行くというのは、実に難しい作業だな、ということです。
参加者が意見を出しやすい環境を作るのもそうですが、どの時点で作品の軸や最終的な全体像を見極める事ができないと、部分的に面白い事が起こっても構成力の弱さ(もしくは無さ)が露呈し、「あえて」作曲をせずに一つの作品を共同して作る事の長所を伝える事ができないように思うからです。
作曲された作品を演奏する場合でも、構成を客観的に判断する能力というのは「良い音を出す」という事と同じくらい重要な事であると思います。
どんなに良い音でもずーーーーっと一本調子で演奏されている作品を演奏会で聴くというのは中々苦しい状況です。美術作品のように自分の好きな時間軸で鑑賞できるのなら違うのかもしれませんが、、。
また「良い音」というのも非常に主観的な判断によるものなので、その演奏家の音が聞きたくて演奏会に行くのなら良いのかもしれませんが、音楽を聞きたくて演奏会に来る聴衆にとって音というのは音楽を構成する要素の一部に過ぎないのではないのでしょうか。
おっと話が大分それてしまいました、、。
話をオペラに戻し、今月は「お料理(音楽)に合った材料(音)を上手に組み合わせて美味しいお料理を作るシェフ」が私のお仕事です。
写真は舞台セット。バチ。私の衣装(仮縫い)。
昔、ダウンタウンのコントでやっていたアホアホブラザーズを思い出しました。ごめんなさい。
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